地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、伊奈町の地域情報サイト「いなナビ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

伊奈町の地域情報サイト「いなナビ」

日本薬科大学からのお知らせ

初冬の薬用植物園散策「柚子」と「極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)」をご紹介します。



さいたまキャンパスの紅葉もいつしか見頃を終え、今は冬枯れの荒涼感溢れる景色に変わってしまいました。


そんな中久しぶりに薬用植物園に足を運び、ふと鈴なりになっている柚子を見つけました。

 

皆様もご存じの通り、令和2年12月21日は冬至でした。二十四節気のひとつで、北半球では太陽が1年で最も低く、夜が一番長くなる日です。また冬至は太陽の力が一番弱まり、この日を境に再び力が蘇ってくることから太陽が生まれ変わる日として祝祭が盛大に行われていたそうです。最近は、日暮れがめっきり早くなったと実感されている方も多いと思いますが、冬至を過ぎると少しずつ日はまた伸びていくことになります。冬至が太陽の生まれ変わる日と考えられていたとはちょっぴりドラマティックな話でもあります。

 

ところで、皆様の中で『一陽来復』という言葉をご存じの方も多いと思いますが、冬至を境に運が向くとも言われているそうです。冬至にまつわるエトセトラはこの他にも沢山ありますが、よく知られているのが「ん」のつくものを食べると「運」を呼び込むことができるとされ、「ん」のついたにんじん、だいこん、れんこん、うどんなどがよく食べられてきたようですが、運を得るだけではなく、寒い冬を乗り切るために積極的に栄養を摂取しようとした先人の知恵をそこに垣間見ることが出来ます。


さて、皆様のご家庭では冬至に何を召し上がりましたでしょうか?

一般的な食材といえば真っ先に柚子とかぼちゃを思い浮かべると思います。目にも鮮やかな橙色で香りの強い柚子は柚子風呂として楽しむことが出来ます。先述した『一陽来復』の運を呼び込む前の禊(みそぎ)として身を清めたのが柚子風呂ともいわれています。皆様も柚子の木の前を通ると、柑橘系の強い芳香を感じたことがありませんか?

 

古来より、強い香りのもとには邪気がおこらないという考え方があります。冬至以外でも柚子湯を好む方がおられると思いますが、柚子湯には血行促進力があり、体を芯から温めて風邪の予防効果が期待されているようです。また果皮には、クエン酸やビタミンCによる美肌効果があることから、冬至以外でも柚子の季節には柚子湯に浸かるのもよいかもしれません。

 

何気ない日常生活の中で、今が旬といわれているものを上手に取り入れて身体のセルフケアをしてみるのも良いですね。


もう一つのお話は、薬用植物園の温室で見つけた、 ストレリチア・レギネ(極楽鳥花)、 英名はバードオブパラダイス(bird of paradise)についてです。極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)は、1つのつぼみから何度も花を咲かせ、花持ちがよいこともあり切り花としても人気の高級品種だそうです。
花の色はオレンジや黄色などカラフルで花言葉は「寛容」、「輝かしい未来」と言われています。 南アフリカ原産のバショウ科の多年草で、草丈1~2mほどに生長し、春と秋に茎の先に鳥の口ばしのような花を咲かせます。この鳥の口ばしのように見えるのが最大の特徴でもあります。花の見ごろは春(4~7月)か秋(9~10月)ということですが、12月の寒さの中でも温室の中では今が見頃というわけです。


まるで茂みの中からひょっこり現れた幻の鳥の如く、その艶やかさには観る者を魅了して止まない感があります。遠い異国の地から日本にやってきた極楽鳥花は、今では温室で咲く定番の花ともなっています。 冬の季節ではありますが、極楽鳥花以外にも薬用植物園の温室では、来訪者が来ずとも色鮮やかな花々が咲き誇っています。正に秘密の花園と言わんばかりです。


今回、ご紹介した柚子と極楽鳥花は、何れも運が巡るとか、輝かしい未来であるとか、新年を迎えるにあたり一筋の希望の光と言えるのではないでしょうか?心の持ちようで日々の暮らしは変わってくると思います。 来る2021年、皆様お一人お一人が素晴らしい1年になりますよう心より願っています。


そして、今後も皆様に楽しんでお読みいただける話題を提供することができるよう好奇心をもって様々な物事をウオッチしていきたいと思います。

 

どうぞ良いお年をお迎え下さい。