地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、伊奈町の地域情報サイト「いなナビ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

伊奈町の地域情報サイト「いなナビ」

伊奈町のんびり散歩

家康に仕えた伊奈備前守忠次公の史跡を巡るコース


 大宮駅からニューシャトルで15分ほど。伊奈町に入って1つ目の駅「丸山駅」から出発します。駅の近くには町名の由来となった伊奈備前守忠次公が構えた屋敷の跡が残されています。町の偉人にまつわる史跡を巡りながら、地元の農産物がそろう人気の直売所にも寄り道しましょう。

 

【ルート】1.丸山駅→2.丸山車両基地→伊奈氏屋敷跡(3.裏門跡・障子堀→4.陣屋跡→5.頭殿社→6.蔵屋敷跡→7.二の丸跡→8.表門跡)→9.願成寺→10.四季彩館→11.綾瀬川改修碑→12.法光寺→13.小室氷川神社→14.志久駅

丸山駅に隣接する車両基地を一望

 丸山駅は東北新幹線と上越新幹線の分岐点に位置し、そのY字の三角地帯に埼玉新都市交通の本社と「丸山車両基地」があります。高架下の奥にある歩道橋に上がると、眼下の留置線や車庫の中に歴代の車両や2016年度グッドデザイン賞を受賞した新型車両がずらり。高架上を走っていく新幹線やニューシャトルも間近に眺められ、電車好きの人でなくてもおもわず歓声をあげてしまいます。

 丸山車両基地では毎年11月に公開イベントが行われる

当時を思い描くのが楽しい屋敷跡

 歩道橋を反対側に下りていくと、左手に「埼玉県指定史跡 伊奈氏屋敷跡」の標示板を見つけられます。ここは屋敷の「裏門跡」と考えられている場所。堀内を簡単に移動できないように堀底に障子の桟のような畝を作った「障子堀」が発掘され、跡地に並べられた縁石によってその堀の位置がわかります。また、裏門跡から続く道が防御のために見通しがきかないように曲げられているものだったり、道の脇に土塁や堀がそのまま残されていたり、当時の様子がいまにも目に浮かんでくるようです。

くねくねと曲がった道。軍事的な理由で城下町でもよく見られる

 伊奈氏屋敷跡の広さは東西350メートル、南北750メートル。現在はほとんどが民有地で、「陣屋跡」「蔵屋敷跡」には、のどかな田園風景が広がっています。竹林の奥にひっそりとたたずんでいるのは「頭殿社(ずどのしゃ)」。地元の人々によって蝋梅や桜、もみじの苗木が植えられ、それぞれの季節の訪れが楽しみです。「二の丸跡」から「表門跡」にかけて見られる土塁や堀もその形がはっきりとわかり、屋敷の規模の大きさを改めて実感できます。

頭殿社の祭神は正面のお堂の奥に祀られている

伊奈氏屋敷跡を通る道の途中には「ふる里歩道」の案内板が立っている

米蔵が建っていた蔵屋敷跡の碑。近くには舟運のために堀が通され、原市沼川に繋がっていた

原市沼川から調整池を歩いて菩提寺へ

 表門跡から少し歩いたところに流れる原市沼川の土手からは、新幹線が走っていく姿が遠くに眺められます。以前このあたりは田んぼが広がっていて、地元の子どもたちは川で泳いで遊んだのだとか。開放的で広々とした調整池のまわりを土や草の匂いを吸い込みながら歩き、「願成寺」に向かいましょう。ここには伊奈忠次公の1番目の孫、伊奈忠勝のお墓があります。わずか9歳でこの世を去ったため、屋敷近くにあったこちらのお寺に葬られたのだそう。早すぎる死を悼んで手を静かに合わせます。

原市沼川。遠くに見える高架の上を新幹線が走っていく

伊奈忠勝は元和5年(1619)没。お墓は約400年にわたって守られてきている

直売所で伊奈町産のメダカとご対面

 県道311号線を行き、「JAさいたま農産物直売所 四季彩館」へ。店頭には花の苗が色とりどりに並び、果物もさまざまな種類、品種がそろっています。店内には野菜が積み上げられ、ふだんスーパーで見るものよりもサイズが大きい! 開店10時前に行列ができるという1日限定50パックの「開運卵」に興味を引かれ、「伊奈町産メダカ・金魚」が販売されていることにびっくり。地元ならではのものが集まるのが直売所の楽しさです。

四季彩館には伊奈町産の野菜がたくさん。遅い時間になると売り切れる

メダカがペットショップ以外で売られているのを初めて見た

ゆかりを辿って改修碑、法光寺へ

 県道311号線に戻ってさらに直進。おだやかに流れる綾瀬川のそばの「綾瀬川改修碑」を眺め、かつて治水に尽力した伊奈忠次やその息子、伊奈忠治が成し遂げたことの大きさを感じます。そして、住宅街を歩いて着いたのは、以前あった山門が伊奈氏屋敷の表門を移築したものといわれていた「法光寺」。境内の六地蔵尊のいちばん左のお地蔵さまは伊奈忠次の2番目の孫、伊奈忠隆の息子、伊奈忠之が父の供養のために建てたもの。伊奈家とゆかりがあるものが町のあちこちに残されているのです。

綾瀬川改修碑。治水に貢献した伊奈家は多くの人々に慕われた

法光寺の山門は残念ながら老朽化のために昭和60年に改築

境内はギンモクセイやシダレザクラ、アジサイなど季節ごとの花が美しい

町の歴史を感じられる氷川神社

 杉並木の参道が美しい「小室氷川神社」は、伊奈家が領有していた小室郷8ヶ村の総鎮守でした。境内には人々が力試しをするために使った力石が奉納されているほか、高さ約27メートル、幹のまわり約4.7メートルの杉が立っています。また、神社が建つこの地には縄文時代から人々が生活しており、その痕跡を環状盛土遺構として見ることもできます。
氷川神社の大杉は伊奈町のことを長いあいだ見つめ続けてきたのだろうなと思いながら歩き、ゴールのニューシャトル「志久駅」を目指します。

小室氷川神社の参道。境内は広く、本堂や神楽殿が配されている

天高くそびえたつ大杉。町の天然記念物に指定されている

 こちらは健脚向けの距離が長いコースです。足にあまり自信がない人は伊奈氏屋敷跡のみの散歩でも十分に楽しめるし、もしくは、丸山駅で「伊奈レンタサイクル《忠次号》」を借りて、自転車でまわるのもおすすめです。伊奈町内の駅ならどこでも返却できるため、志久駅でもOK。また、利用者は協賛店で自転車の鍵を見せると特典を受けられるので、気軽に利用してはいかがでしょう。

この記事に関するキーワード