伊奈町の文化財
室町時代からこの地にゆかりのある春日家の墓。
伊奈町西小針の桂全寺は、室町時代からこの地を領していた春日氏によって建てられ、境内にある春日家の墓は、昭和43(1968)年3月1日に町の記念物(史跡)に指定されました。
本堂横にある大むくの木(町指定天然記念物)とともに、伊奈町の歴史を語る名所のひとつになっています。
桂全寺は、室町時代の天文年間(1532~1555年)から永禄年間(1558~1570年)の頃に、春日下総守景定が祖父行忠の追福のために創建されたと言われ、開山は三仏寺円誉善寿和尚、極楽寺と称していたお寺を当地に再建したそうです。
江戸時代の慶長年間(1596~1615年)には、徳川家康より朱印30石を受領しますが、火災により焼失。慶安年間(1648~1652年)には、徳川家光より朱印5石を受領しています。
藁ぶき屋根だった本堂と山門は、上越新幹線の開通時(昭和55(1980)年)に改築され、現在の本堂の中には、鎌倉時代に作られた木造阿弥陀如来立像及び、南北朝から室町時代に作られたとされる両脇侍像(写真右)など貴重な仏像が保存されています。
境内の墓地の奥にひっそりとある春日家の墓。春日氏は藤原氏より出で、天文6(1537)年、北条、上杉両氏の川越合戦の際に、春日八郎行光が活躍。その後関東を平定して足立郡菅谷村に館を設け、足立一円を領したそうです。
嫡子春日下総守景定は、小針村に陣屋を築き居住し、桂全寺を開基。10代顕恊(あきつぐ)の妻子は小針内宿村に帰農。その子顕道は徳川14代将軍家茂の徴兵組頭役を勤め、戊辰戦争の際に上野寛永寺に立て篭もったのち、会津を経て函館で戦死しました。
所在地 | 埼玉県北足立郡伊奈町西小針1-2(桂全寺) |
その他 | 駐車場あり |
文化財指定 | 伊奈町指定記念物(史跡) 昭和43(1968)年3月1日指定 |