伊奈町の文化財
全国的にも価値の高い平安時代に作られた古仏像 戦国時代に中興開山した西光寺の本尊
小針新宿にある古刹 西光寺の本尊仏 木造阿弥陀如来坐像 は、平安時代後期の12世紀に作られたとみられる藤原仏です。寄木造り、高さ107cmの大きな仏像で、指先などに若干の欠損が見られますが、当時の姿を留めた全国的にも希少な価値の高い古仏像です。昭和47(1972)年3月28日に埼玉県指定有形文化財(彫刻)に指定されました。
ニューシャトル内宿駅から徒歩12分、田園風景の残る住宅街を抜けて西光寺に至ります。広い墓所と駐車場、そして並木が目印です。参道には地蔵様が並び、神聖な場所であることを引き立ててくれます。春には参道と本堂前の老木のサクラが美しく咲きます。
真言宗智山派 宝林山 西光寺は、創立時期は不詳ですが、天文22(1553)年頃に法印宥宣僧正が中興開山した由緒のある古刹です。当時は戦国時代(1493年~1590年)。戦乱の世に平安を願い、阿弥陀如来像を本尊仏に再興されたことが偲ばれます。
参道はサクラ並木と地蔵様が並ぶ
宝林山西光寺の山門の奥に見える本堂
本尊の阿弥陀如来坐像は、平安時代後期の定朝様を示す像です。仏像が作られた頃は、遣唐使が廃止され、紫式部の源氏物語などの「ひらがな」を使った文学を始めとし、日本独自の文化が発展していった時代です。支配層も貴族から武士の台頭と変化が起こり、藤原氏の庇護により仏教が盛んになっていきます。そのような背景のもと、仏像もそれまでの一木造りから、工房での大量生産が可能な寄木造りの「藤原仏」が広まっていきました。
その後の応仁の乱などの内乱や戦争で多くの藤原仏が焼失してしまいました。西光寺の藤原仏 木造阿弥陀如来坐像は制作された当時の姿を残す貴重な古仏像です。
静寂、ときに野鳥のさえずりが聞こえる本堂。西光寺の阿弥陀如来様は、温和に瞑想するお顔、流れるような衣、施無畏与願印(せむいよがんいん)という願いを叶えようというジェスチャーをされた優雅なお姿をされています。心の安らぎを求めて、また、800年以上に亘り人々の祈りを聴いてきた仏様にお会いに訪れてみてはいかがでしょうか。
所在地 | 埼玉県北足立郡伊奈町小針新宿463(西光寺) |
その他 | 駐車場あり |
文化財指定 | 埼玉県指定有形文化財(彫刻) 昭和47(1972)年3月28日指定 |