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手話への想い「32年の努力がついに実った」

伊奈町手話の会 インタビュー

左から 宮田みどりさん、山下國光さん(会長)、佐藤妙子さん

伊奈町手話の会…昭和61年10月31日発足、会員数38名。発足以来、町内外での手話の普及・促進に大きく貢献してきました。毎週水曜日13時30分~、金曜日19時~の定例の勉強会や社会福祉協議会で開催する手話講習会での学習補助などを行っています。伊奈町手話言語条例の制定にも大きく貢献し、町の手話普及・促進の要ともいえる存在です。

―――みなさんが手話を学んだきっかけは?


山下さん(以降、「山」と略)「上尾市の会社に30年以上勤めていたんですが、その会社の社員全体の中に聴覚障がい者の方が30名ほどいました。ある日会社の青年部主催の手話勉強会に誘われ、その勉強会で学ぶうちに、もっと学びたいと考え、上尾市の手話サークルに入会しました。当時伊奈町には手話サークルはありませんでした。」


宮田さん(以降、「宮」と略)「私が20代のころ、電車の中で聴覚障がい者の方数名が手話で会話しているのを見かけ、それが表情豊かにとても楽しそうで印象的でした。最初は興味を持っただけでしたが、伊奈町に引っ越してきたときに、手話サークル(手話の会)があると知り、入会しました。会の勉強会などでろう者の方などの話を聞き、手話の技術をもっと身に付けたいと感じました。学んでいく中で、耳が聞こえない人たちが差別を受けていることを知り、ろう者の方々と一緒に学んでいきたいと思い、活動を続けてきました。」


佐藤さん(以降、「佐」と略)「伊奈町に引っ越してくる前に、テレビでろう者の両親と健聴者の子ども2人、4人家族のドキュメントを見たことがありました。その家族が手話で会話している姿を見て、なんて素敵な言葉だろうと思いました。町に越してきた後、回覧板でお知らせしていた手話講習会を受講し、手話の会にも通い始めました。手話の会の見学のときには、先輩(宮田さんを差して)が優しく声をかけてくれました(笑)」
一同「(笑)」

―――手話条例制定をどう思われますか?

「とてもうれしく思います。夢のようです。」
「そうですね。全国的に自治体が条例を作り始め、障がい者の方への差別は改善されてきていますが、障害や手話に対する理解はまだまだ足りないと感じていました。そんな中、町に条例ができたことで、理解が広まるのではないかと思います。条例制定後、実際に手話を学びたいと声をかけていただくことも多くなり、効果を実感しました。」
「やっと動き出した、といった感じでしょうか。役場でも職員向けの手話研修を開催したと聞いて、なんてすばらしいんだと思いました。聴覚障がい者が窓口に行って、職員が少しでも手話ができて、思いが伝わる。こんなに嬉しいことはありません。少しずつ子どもたちにも手話に触れる機会が企画され、手話のすそ野が広がっていけばいいなと思います。」

―――町で手話条例のパンフレットを全戸配布しましたね。

一同「あれは本当にすばらしいパンフレットでしたね!」
「全戸配布はとても大きいです。あのパンフレットでより聴覚障がい者への理解が進み、例えばコンビニに行ったとき、箸はいりますか?とか温めますか?なんて簡単な手話をしてくれたら、耳が聞こえない方にとってすごく嬉しいと思います。将来、町のどのお店に行っても、手話が使われていたらいいなと思います。」
「耳が聞こえない人は見た目からは判断できないので、自分たちの周りにも聴覚障がい者の方がいるということを、あのパンフレットを見て少しでも意識してくれたら嬉しいです。」

―――最後に“手話への想い”を聞かせてください

「昔、障がい者への差別はひどいものがありました。障がい者が自分の家にいることは恥ずかしいという意識のもと、差別用語も頻繁に使われていました。昭和41年に「第1回全国ろうあ青年研究討論会」が行われ、全国からろう者の青年たちが京都に集まり、自分たちがおかれている状況を話し合う場が設けられました。それを皮切りに、差別をなくしていこうという「ろうあ運動」が始まりました。当時、耳が聞こえない人は1人前と扱われず、1人でローンを組めないなど、ひどい扱いを受けていました。現代では大きく改善されましたが、差別はまだ少し残っているのが現状です。これから健聴者と聴覚障がい者が共生できる世の中にするために、手話を通してこれからも取り組んでいきたいと思っています。」
「障害者基本法で手話は言語だと認められましたが、聴覚障がい者への理解はまだ広まっていないのが現状です。今後手話が普及し、いつでもどこでも手話が通じるようになったらいいなと思います。来年に手話講習会の手話通訳者養成編が行われますが、前回は平成21年に開催され、その受講生の中の2人が私と佐藤さんでした。手話講習会をきっかけに積極的に活動する方が一人でも増えたら嬉しいです。」
「もちろん手話通訳者の養成も大事ですが、耳が聞こえない人が町に出て、手話が通じるような社会になっていくことが大前提として大切かなと思います。その2つがそろうことを期待していますし、そうなるために今後も活動していきたいです。」

 

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